ツケマお化けに恋して
「ねぇそれはそうと住む所どうするの?お互い行ったり来たりって大変でしょう?籍も入れるんだし早く決めたら?」

「別に急がなくても良いとは思うけど…どうするかな?なぁ恵?」

「あっ俺ここ出て行きますよ!どっかアパート借ります」

「何言ってる、おまえが気にする事じゃない!」

「そうよ!ここで3人で暮らせば良いわ!私は進歩君大好きだもん。3人で川の字になって寝ましょ!」

母は嬉しそうに言うがそれは無理だと思う。

「いやーでも、新婚さんと一緒は辛いっす」と進歩君が困ったように言う。

そりゃーそうだ!可愛そうだわ……

「ねぇーお母さん達はこっちに住んで、進歩君があのアパートに住んだら?生活に必要なものみんな揃ってるんだし、ここに通うのに歩いて来れる距離だしさ!」

「あぁそうだな!家賃はうちで出してやれば良いしな」

雅さんも賛成して進歩君も喜んでいる。
ただ一人だけがっかりしてる人がいるが…

もぅお母さんたら……


帰りは進歩君が送ってくれる事になり久野先生にお土産だと雅さんはお寿司を握って持たせてくれた。

「じゃーそろそろ帰るね?」

「美貴野、気を付けてね!無理しないのよ」

「はいはい!」

「美貴野ちゃん、久野先生のお宅に良いもの入ったら送るよ!しっかり栄養つけて元気な子産みなよ!」

「うん!ありがとう。お父さん、お母さんの事宜しくお願いします」


母は車が見えなくなるまで手を振って見送ってくれていた。

「美貴野さん……俺が初詣で言ったこと覚えています?」

進歩君は真っ直ぐ前を見て運転しながら話をする。

「えっ?初詣で言ったこと?」

「『美貴野さんの彼氏になれますようにってお願いした』って言ったじゃないですか!俺、本気ですよ!」

「進歩君……」

「俺をお腹の子の父親にしてくれませんか?きっと美貴野さんもお腹の子も幸せにしますから!!」

「……進歩君ありがとう。私、進歩君の事好きだよ」

「じゃ俺と結婚してくれますか?」

「ううん…出来ない。私、進歩君の事好きだけど弟として好きなの…ごめんね。こんな言い方ズルいよね…でも、雅さんが君の事を家族と思って大事にしているように、私も進歩君を弟として大事にしたい。だから……ありがとう」

「やっぱり…ダメですよね。分かってたんです。振られることは…ただケジメつけたかったんです。美貴野さんずっと弟で居させてくれますか?」

「イケメンの弟、大歓迎よ!」
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