だけど、二人が一緒にいる時、

一緒にいるのに

彼が一人で笑うようになった。

シロが肩に登って彼の耳元でぶらぶら揺れるストラップにじゃれようとすると、

手で強く追い払われた。
彼女は黙って洗い物をしていた。

彼が一人で笑ったあとは、決まって

「出かける」

と言って一人でいなくなった。


彼女は何も言わず、彼がいなくなったあとは一人でテレビをみて笑った。

画面の中の、よその家の猫をみても笑ってた。

シロもあんなことできたらいいのにと、呟いたりもした。


シロは聞こえないフリをした。


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