秘め恋シンデレラ~隠れ御曹司と甘く蕩けるKISS~
「今日はありがとうございました。麻生さん」

「こちらこそ…楽しい披露宴だったよ。野島さん。二人共お幸せに」

俺は金屏風の前に立ってお礼の挨拶をする二人に門出の言葉を送った。

「今日はありがとう。香音」

「美野里も元気な赤ちゃん産んでね」

俺の後を追うように出て来た香音も荒木さんと話を交わす。

隣に立つ野島さんはは香音の元カレ。

事情を知る俺にとっては凄い構図だけど、両家のご両親揃ってのご挨拶だし、このままさっさと帰ろう。


「小池、一緒に帰ろうか?」

「あ、はい」

俺と香音は一緒にエレベーターホールに向かい、歩いた。
香音は薄いオレンジ色のドレスに白いパールのネックレスとイヤリングを付け、清楚にまとめた装いで披露宴に出席。
今はカシミヤの上品なロングコートで隠れている。
長く柔らかな髪を緩く巻いてハーフアップにしていた。俺は零れた後れ毛とうなじにドキッする。

「お前…二次会出るのか?」
今日の香音は新婦の荒木さんよりも綺麗だった。


「出ませんよ。麻生さんは?」

「俺も出ない」





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