秘め恋シンデレラ~隠れ御曹司と甘く蕩けるKISS~
「あれ?永遠さん」

振り返るとそこには栗原さんのご子息・柾貴(マサキ)の姿。

彼は『星凛堂』の系列会社『ハートフル化粧品』の社長秘書と務めている。


「貴方は栗原さんのご子息の柾貴さんですね」

「君は確か…永遠さんと同じ社長秘書の…二人して手なんて繋いで・・・もしかして・・・」

栗原さんのご子息とあって勘が鋭い。
眼鏡の奥の瞳は俺達の仲に興味深々。

「俺達は・・・」


「先に行くなんてズルいですよ。麻生さん」

柾貴だけでも、ピンチなのにその上、佐藤まで俺達の後を追って来た。
佐藤と野島、課は違うけど、二人は社内のテニスサークルに所属し、佐藤はその関係で披露宴に招待されていた。

香音にフラれたものの、佐藤は以前のように気軽な雰囲気で香音に話し掛けて来る。

俺達は慌てて手を離し、距離を取った。


「二人で消えちゃうなんて酷いですよ。もしかして…麻生さんと小池さんって・・・」

佐藤は俺と香音の仲を全く知らない。
後少し、隠し通せば…俺は『星凛堂』を去る。ここでバレるわけには・・・

「それよりも隣の方は?」

「社長秘書である栗原さんのご子息の柾貴君」


「あの…栗原さんのご子息ですか・・・へぇー」

「あ…柾貴…これ、彼女の荷物だ。持ってやれ」

俺は左手に持っていた香音の紙袋を柾貴に渡した。

「いいですけど・・・」

「自分で持ちますよ。麻生さん」





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