秘め恋シンデレラ~隠れ御曹司と甘く蕩けるKISS~
佐藤の提案でロープウェイに乗車して大涌谷を見に行くコトになった。
箱根登山ケーブルカーに乗って、中継地点の早雲山駅を降り立つ。

秋の紅葉シーズン。
少し肌寒いが、空は晴れ渡り絶好のお出かけ日和。

多くの人が紅葉を楽しもうと押し寄せていた。

ロープウェイに乗車する前に駅周辺を散策する。

昨日、露天風呂から遠目に見ていた箱根外輪山が綺麗に一望出来た。
赤・黄色・オレン色に色づいた山。

芸術的な自然の風景に感動する。

一緒に居たはずの佐藤が行方不明に。

「佐藤は?」

「あ…トイレに行きました」

「トイレか・・・」

俺と小池のふたっきり。
何だか落ち着かず、俺は辺りをキョロキョロと見つめ、挙動不審な行動を取る。

「どうしてもロープウェイ乗るんですか?」

「ここまで来たんだ。乗るしかないだろ?」

「そうですよね」

小池は軽い吐息を吐き、胸に手を当てた。

「もしかして…お前…高所恐怖症?」

「ち、違います!!」

「向きになる所が怪しいぞ」

「麻生さん、小池さんお待たせしました」

佐藤がロープウェイの乗車券を持って帰って来た。

「これは俺の分。これは小池さんの分、これは麻生さんの分」
佐藤は俺達に乗車券を渡した。

「乗車券、奢って貰ったからには乗るしかないな。小池」

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