秘め恋シンデレラ~隠れ御曹司と甘く蕩けるKISS~
「ホルモンバランスの崩れで遅れているだけでした」

運転席に座り、シートベルトを着ける俺に小池が結果を告げる。


心は安堵するかと思ったけど、意外な反応を示す。


俺は残念に思っていた。


小池の妊娠を望んでいたのだ。


俺は何も言えなかった。重苦しい雰囲気が車内を包む。

「ご迷惑おかけしてすいませんでした」

小池が俺に謝る。

それでも、俺は黙ってやり過ごす。

何て言えばいいのか判らない。俺は自分の本意を伝える機会を失ってしまった。


低く唸るエンジンの音を立てて、車体は滑らかに出発する。


それからの二人は無言で、窒息するぐらいの静寂が続いた。


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