ライ・ラック・ラブ
「ああ。当然俺は、こんな店に予約なんて入れてない。でも、どうしても君と一緒に来たかったから社長に相談したんだ。すると“ここの支配人とは知り合いだから、私に任せておきなさい”と言われてさ。これが、今俺たちがここにいられる真相だ」
「そうだったの…」
「いずれバレるだろうから、ついでに今白状しておくと、今日のデート代は社長持ちだ」
「そう…」

確かに、今夜のコース代は、普段出かけるレストランのそれよりも高いだろう。
それもかなり。
という予測くらいは私にもつく。
食材の良さや、美味しさはもちろん、ロケーションやサービス、全てが素晴らしいし。

「せっかくのイブだから、君とロマンチックな夜を過ごしたくてさ。どう?気に入った?」
「え。ええ。もちろん…だから正さんはいつもより緊張しているように見えるのかしら」
「そりゃあ俺、こんなところに来たのは初めてだから、場馴れしてなくて落ち着きないように見えるだろうが」
「ううん!そうじゃなくって…。私だって、ここのレストランでお食事をしたのは初めてよ。しかも…」
「しかも、何」
「こ、こんなにハンサムな男の人と…デートで、なんて…」

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