ライ・ラック・ラブ

「春花さん」
「はい?」
「今夜はここに泊まろう」
「…え?で、でも…」
「実はもう部屋取ってるんだ。それに社長からも許可もらってるよ」
「あ…そ、ぅ」

だから、正さんはシャンパンを飲んだのよね?
祝杯を挙げるためだけじゃなくって、飲んでしまうと、自分で車を運転して私を送ることはできないから…。
正さんって意外と用意周到と言うか、何も考えていないようで、実は何気に細部まで策を施しているような、そういう用心深さがあると思う。

そんな私の思いを裏づけるように、「それに、俺にとって“思い出深い記念日”は、まだ終わってない。だから…いいだろ?」と正さんは言った。

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