ライ・ラック・ラブ
「…春花さん」
「ん…あ。ただしさん…?」
「俺、仕事があるからもう行くって言いたかっただけ」
「えっ?もうそんな時間?」
「ああ」と言った正さんは、すでにスーツを着ている。

昨日と同じなのに、ピシッとプレスされてキレイに見えるのは、ホテルのサービスを頼んだからかもしれない。

「君は寝てていいよ。眠いんだろ?」
「えぇ。ごめんなさい…」
「ここのチェックアウトは午後3時まで延長できるらしいから。頼んでおこうか?」
「…ううん、いい。でもなんで“らしい”なんて、他人事みたいに言うの?この部屋を予約したのは正さんなんでしょう?」
「まさか」と否定されるとは思ってなかった私は、ベッドから上体を起こすと、すっかり覚めた目で正さんを見た。

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