ライ・ラック・ラブ
私より先に結婚のことを聞いていた父は、もちろん賛成してくれた。
ただ一つだけ、正さんが婿養子になることが条件だと父は言ったけれど、正さん本人は、最初からそのつもりだったので別に構わないということで、すんなりまとまった。



年明けに、正さんのご両親が住む実家へ、正さんと二人でご挨拶に伺った。

正さんの実家は地方にあって、酒造りをしている。
ご家族はみんな優しい人ばかりで、家業で多忙な中、温かく出迎えてくれたことに、私はとても感激した。

正さんのお兄様が、すでに家業を継いでいることもあって、三男の正さんが、婿養子という形で結婚をすることに異存はないと、ご両親ともに言ってくれただけでなく、私たちの結婚を心から喜んでくれた。

そして帰り際、お母様から「次は結納の時に会いましょうね」と笑顔で言われたとき、亡くなった母と面影が重なって見えてしまった私は、嬉しいのと切ない気持ちが入り混じって、つい泣きそうになってしまった。

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