ライ・ラック・ラブ
「そうそう。料理に関しては、冬美が一番得意よね」
「うーん…それより私、お菓子作りの方が…ううん、お菓子食べることの方が大好き!」と、無邪気に言う末の妹・冬美に、「それって、得意なこととは違うんじゃない?」と、すぐ下の妹・夏子が冷静に言い返す。

穏やかながら賑やかないつもの光景に、私の顔にはすぐ笑顔が浮かんだ。
でも…こうして4姉妹揃って過ごせる時間も、あとわずかなんだと思うと寂しい。
けれど、私は屋敷を出るとは言っても、ものすごく遠い場所へ引っ越すわけではない。
むしろ、今年の夏からフランスの大学院へ留学する夏子の方が、ぐんと遠くへ行ってしまう…。
それは寂しいけれど、好きな事を極めるために、夢を叶えるために、夏子が自分で選んだ道なのだから、妹が旅立つ時には、笑顔で見送ろう。

そういう事情で、結婚後、郁代さんが料理を作りに新居へ来てくれることになったのは、私としても非常に助かるし、正さんにとっても、非常にありがたいことだと思う。

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