ライ・ラック・ラブ
「あぁやっぱり。私、一度会った方のお顔とお名前は、必ず覚えているから…それで、私に何か」
「…やっぱりあなたは知らないのね」
「はい?何が」
「私のこと。正さんから聞いてないんでしょう?」
「え…」
緊張が解れたと思われる平川さんは、口調まで少し変わった。
その上まさか、初対面の女性から、正さんの名が出るとは思ってなかった私は、明らかにうろたえたまま、平川さんを見ることしかできない。
「こうなったら単刀直入に言わせてもらうけど。そのためにここまで来たんだし」と平川さんは言うと、深呼吸をした。
まるで、自分自身を奮い立たせるように。
「私と正さんはつき合ってるの。もうすぐ3年になる。つまり、あなたと正さんが“おつき合い”を始めるずっと前から、私たちは恋人同士なのよ」
「な……うそ、嘘よ」
「いいえ。嘘じゃないわ。あなたがお金持ちの令嬢で、次期社長になれるから、あなたと結婚することにしたって、正さんは言ってた。だから正さんはあなたのことを愛してないの。全然、これっぽっちも」
そう言ってわずかに開いている平川さんの左手を、私は見ているようで見ていないような、そんな状態で見ていた。
「…やっぱりあなたは知らないのね」
「はい?何が」
「私のこと。正さんから聞いてないんでしょう?」
「え…」
緊張が解れたと思われる平川さんは、口調まで少し変わった。
その上まさか、初対面の女性から、正さんの名が出るとは思ってなかった私は、明らかにうろたえたまま、平川さんを見ることしかできない。
「こうなったら単刀直入に言わせてもらうけど。そのためにここまで来たんだし」と平川さんは言うと、深呼吸をした。
まるで、自分自身を奮い立たせるように。
「私と正さんはつき合ってるの。もうすぐ3年になる。つまり、あなたと正さんが“おつき合い”を始めるずっと前から、私たちは恋人同士なのよ」
「な……うそ、嘘よ」
「いいえ。嘘じゃないわ。あなたがお金持ちの令嬢で、次期社長になれるから、あなたと結婚することにしたって、正さんは言ってた。だから正さんはあなたのことを愛してないの。全然、これっぽっちも」
そう言ってわずかに開いている平川さんの左手を、私は見ているようで見ていないような、そんな状態で見ていた。