ライ・ラック・ラブ
「それだけの理由で私と別れるって言われても、私だって困るのよ。ううん、嫌なのよ。私は別れたくないの。だって、私は正さんのこと愛してるし、正さんだって私のことを愛してるのよ?“愛だけじゃ結婚できない”って彼は言うけど、愛がない結婚生活なんて絶対長続きしない。私はそういうお客さんをたくさん見てきたから分かる。奥さんのことを愛してない旦那は、必ず他にはけ口を求める。それに正さんはあなたを愛したことがないし、たぶん一生愛せないとまで言ってたわ。だから…ね?今ならまだ間に合うわ。小原正さんと結婚するのはやめてください。お願いだから…」と懇願する平川さんを遮るように、私は「平川さん」と言った。
そして、「ご忠告、どうもありがとう」と言うと歩き始めた。
平川さんの傍を通り過ぎるとき、私の心はまだ動揺したままだったけれど、そんな様子をおくびにも出さず、毅然とした態度を崩さないまま、頭を上げて堂々と歩いた。
そう。背筋を伸ばして、颯爽と。
弱味を見せず、いつもどおりに。
加納家の令嬢らしく、上品に、優雅に…。
と自分に言い聞かせながら、ひたすら前を見て歩いた私は、マンションのエントランスへと入っていった。
そして、「ご忠告、どうもありがとう」と言うと歩き始めた。
平川さんの傍を通り過ぎるとき、私の心はまだ動揺したままだったけれど、そんな様子をおくびにも出さず、毅然とした態度を崩さないまま、頭を上げて堂々と歩いた。
そう。背筋を伸ばして、颯爽と。
弱味を見せず、いつもどおりに。
加納家の令嬢らしく、上品に、優雅に…。
と自分に言い聞かせながら、ひたすら前を見て歩いた私は、マンションのエントランスへと入っていった。