ライ・ラック・ラブ
「…そうでしたか」
「父からは、自分の顔に似ていることが残念だと、子どもの頃から散々言われてきたから、自分がブスだってことくらい分かってる。でも…私が父の娘じゃなければ…父が会社と財産を持っていなければ、私には魅力や取り柄がないの?私が持っている唯一の取り柄って、“加納”という名字しかないの?」

自分で言いながら、もっと悲しくなってしまった私は、また目に浮かんだ涙を、そっとハンカチで拭った。

「お嬢様…。俺にとってあなたは、世界で一番美しい女性です」
「…え」

まさか、佐久間さんからそんなことを言われるとは思ってなかっただけに、私は唖然とした顔で、隣の彼を見た。

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