ライ・ラック・ラブ
「お嬢様。そうしますと、ご結婚は…」
「もちろんするわ。明後日、正さんと」
「…そうですか……。お嬢様は小原のこと、愛してるんですか?」
「いいえ、愛してないわ」
「だったら何故」
「それでも、正さんと結婚するの。でも泣き寝入り状態のまま結婚しないわ。今から明日にかけて、出来る限りの手を打っておかなくては」と、私は自分に言い聞かせるように、佐久間さんに言った。

私の決意を尊重するように、佐久間さんは「分かりました」と言ってくれた。

「ではお嬢様、今からどちらへ参りましょうか」
「そうね。まずは……佐田さんのところへ。ちょっと待ってね、今アポイント取るから」と私は言いながら、バッグから携帯を取り出した。

「もしもし秋子さん?春花です。夜分遅くにごめんなさい…あらそう?良かったわ…ええ…」と私が通話をしている時、佐久間さんはすでに佐田秋子弁護士のところへ、滑らかに車を発進させていた。

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