ライ・ラック・ラブ
佐久間さんの言ったとおり、父はまだ帰宅していなかった。
この時ばかりは、父が仕事を優先してくれたことに感謝をしながら、私は3人の妹たちを自室に呼んで、正さんと父に言われたことを、包み隠さず妹たちに全て話した。

「酷い。正さんってそんな人だったなんて…」
「やっぱりねぇ。あの人、外面だけは良いって感じしてたもん」
「姉さん、それでも結婚する気?」
「ええ、もちろんよ」
「そうやって自分を犠牲にすることで、私たちを救ってる、なんて勘違いしないでよ。私たちは全然嬉しくないんだから!」

普段冷静な夏子が、珍しく感情をあらわにしている。
しかも、私の為に怒ってくれて…。

父はずっと仕事優先で不在がち、母は9年前に他界した。
私たちは普段、それぞれの事をしているけれど、いざという時の結束力は強く、深い絆で結ばれている、仲の良い姉妹だと思う。

だから私は長女として、3人の妹を守らなければならない。

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