ライ・ラック・ラブ
最初は自宅の一室で始めた小さなビジネスが、ここまで大きく成長するなんて…いいえ。
今でも成長を遂げているところだ。
行きかう人々を見ながら、相変わらずここには活気があると私は思った。
5年前に拠点を移した、明るく綺麗で立派な自社ビルは、父にとっては成功の証であり、象徴でもあるのかもしれない。
そんな父のことが誇らしいと思った矢先、低い男性の声で「春花さん」と呼ばれた私は、声がした方に向きを変えると「はい?」と返事をした。
「…小原さん?こんにちは」
「こんにちは。社長は別件で急用ができたそうで、今外出中なんですよ」
「あら、そうでしたか」
「書類は僕が預かっておくよう、頼まれていますので」
「そうですか。ではお願いします」と私は言うと、バッグから書類が入った封筒を取り出して、小原さんに渡した。
小原さんは、封筒を開けて、中身をチラッと確認すると、「はい。では確かに受け取りました」と言って、私にニコッと笑った。
今でも成長を遂げているところだ。
行きかう人々を見ながら、相変わらずここには活気があると私は思った。
5年前に拠点を移した、明るく綺麗で立派な自社ビルは、父にとっては成功の証であり、象徴でもあるのかもしれない。
そんな父のことが誇らしいと思った矢先、低い男性の声で「春花さん」と呼ばれた私は、声がした方に向きを変えると「はい?」と返事をした。
「…小原さん?こんにちは」
「こんにちは。社長は別件で急用ができたそうで、今外出中なんですよ」
「あら、そうでしたか」
「書類は僕が預かっておくよう、頼まれていますので」
「そうですか。ではお願いします」と私は言うと、バッグから書類が入った封筒を取り出して、小原さんに渡した。
小原さんは、封筒を開けて、中身をチラッと確認すると、「はい。では確かに受け取りました」と言って、私にニコッと笑った。