ライ・ラック・ラブ
少し日に焼けた肌と、真っ直ぐ並ぶ白い歯のコントラストが、この人には眩しいくらいに良く似合っている。

…小原さんは確か、中学から大学までテニスをしていたと、サークルのお手伝いに来てくれたときに話してくれた。
ガッシリした体を覆うように、スーツを着こなしている小原さんからは、自信がみなぎっているように見えるのは相変わらずだ。

「あ…それでは。よろしくおねがいします」
「春花さん」
「はいっ?」

もう用件が済んだので、会社を出ようとした私を、小原さんが呼び止めた。
そんなことは今までなく…初めてのことだったせいか、少しだけ胸がドキッとしてしまった。

「明日、一緒に晩ごはん食べに行きましょう」
「………え?」

ご飯を食べに「行きませんか?」ではなくて、「行きましょう」という言い方は、自信家の小原さんらしい誘い文句だと思う。
私は目をパチパチと瞬かせながら、無言で小原さんを見上げていた。

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