好きやった。


 ×××



アイツ――月島将太に出会ったのは、小学4年生のときだった。

2つ歳上のお兄ちゃんに影響されて入った、ミニバスのチーム。そのチームで唯一の同い年だったのがアイツだ。


ウチより1年先にチームに入っていた月島。

そんな月島がバスケをしている姿を初めて見たあのときのことは……きっと、一生忘れない。

まだ成長途中で身長が低くて、体力だってそんなになかったはず。

だけどコートに立つと機敏に動いて、自分よりも背が高い上級生に負けじと高く跳ぼうとしていて……。

シュートの成功率だけは、チームメイトの中で一番だった。


バスケに夢中で、全力で取り組んでいるそんなやつ。ボールを持ったり追いかけるたびに、笑顔がこぼれていた。

そんな姿に……一目惚れしたんだと思う。

試合を見て興奮しているのとは違う、初めて経験する胸の高鳴りは、確かに恋だった。


バスケをしている姿を見ただけ。

大した理由でもないとても単純なきっかけだったけど、それでもその瞬間から急速に月島に惹かれていく自分がいた。


隣町に住んでいた月島とは通っている小学校が違ったけど、同い年で話が合ったこともあり、ミニバスの練習で会うたびに自然と仲良くなった。

友達としても仲良くなるのと同時に膨らんでいく、初めて抱いた恋心。

ウチにとって月島は、好きな人でもあり大切な友達でもある。

だけど月島にとってウチは、最初からずっとただの友達。

それは小学校を卒業して同じ中学校に通い始めても、変わらない関係だった。


< 5 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop