好きやった。


月島に自分が恋愛対象外として見られているのは、薄々気づいていた。

友達として仲良くなればなるほど、アイツがウチのことをなんとも思っていないのは態度で十分察することができたから。


……でもそんな状態でも、ウチは心の中で余裕を持っていたのかもしれない。

今は友達としてしか見てもらえないけど、いつかはって……。


いつか、好きになってもらえたら。それでええやん、って。

友達としての距離を保ったまま、楽観的に考えていた。

なんの努力もしていないくせに、そんなふうに期待しすぎていた。


そんな自分がバカだったことにようやく気づいたのは、アイツから彼女ができたと言われたときだった――。



 ×××



――2週間前。



「なあ、井ノ原! ちょっと俺の話聞いてくれ!」


自主的に行っている部活の朝練のために早朝の体育館に入ると、まるで飼い主の帰りを待ちわびていた犬のように月島が猛スピードで駆け寄ってきた。

男バスの月島も、女バスのウチと同じでいつも朝練をしているメンバーだ。

その中でもウチと月島は、他のメンバーよりも少し早い時間から朝練を始めている。

……まあ、正直に言うと、月島が早朝からおったから、ウチも早くから朝練をするようになったんやけどな。

もっとバスケが上手くなりたいっていう気持ちがあるから、もちろん朝練に参加しているわけだけど……。

苦手な早起きをしてまで人より早く朝練を始めようっていう気持ちになれているのは、やっぱり月島の存在が大きい。

恋の力は偉大や。だてに4年も片思いしとるわけやない。


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