好きやった。
「――大事な友達やから」
……ほら、やっぱり。
ウチにはもったいないぐらいの優しさを微笑みに込めて、月島はそう言うんだ。
胸がいっぱいになって、絞り出す声が震えた。。
「……でもウチ、最低やんか。友達の資格なんてないよ」
「友達に資格も何もねえやろ。それに最低なんは俺の方や。ずっと……井ノ原のこと傷つけてたんやから。本当にごめん」
月島は申し訳なさそうに下を向く。
でもすぐに顔を上げて、精一杯気持ちを伝えてくれた。
「好きって言ってくれて、ありがとうな」
「……っ、」
「ずっと友達で、井ノ原のことなんでも知っとるようなつもりでおったけど……。ほんまに今まで、井ノ原の気持ちは知らんかった。ちっとも気づけやんだ」
「……そうやよ、全然気づいてくれやんだよね」
「ほんまにごめん。そのせいで俺、井ノ原のことめちゃくちゃ傷つけてたよな。昨日井ノ原に思ってたこといろいろ言われて、自分のバカさに気づかされた。無理して笑ったのも、俺のせいやったんやな」
そうやよ、とは直接言えなくて、頷くように俯いた。
「こんなん、俺の方が最低やんか。井ノ原のこと大事な友達やって言いつつ、井ノ原のことなんにもわかってなかった」
自分を責めるように苦痛に満ちた声を聞いていると、ウチまで苦しくなってくる。
「……でもな、そんな俺やけどな……。井ノ原のこと、大事やと思ってたんは本当なんだ。出会ったときから……今も、これからも、その気持ちは変わらん。井ノ原と、ずっと友達でおりたい」
――ああ、そっか。
これは月島なりの、ウチの告白への返事だ。
ウチの“片思い”は終わりだけど、二人の“友達”という関係は終わらないと、そう言っているんだ。