好きやった。
「……ウチも、ずっと月島と友達でおりたい」
「うん」
「正直まだ彼女の話聞くのもつらいし、あんまり二人のこと喜べやんけどな……。それでもな、ちゃんと二人のこと、心から喜べたらええなあって思っとる。月島のこと、困らせたり傷つけたりしたいんとちゃうの。笑っててほしい」
「うん……ありがとな。俺だって、井ノ原には笑っててほしい」
「あと、それからな……」
月島の身体からそっと離れる。
どうしてもこれだけは、面と向かって月島に伝えたかったんだ。
「ウチ、月島のこと……」
どんだけ好きやと思っても、月島の心は手に入らなかった。
でも、でもな――。
「めっちゃ、好きやった」
「――、」
「誰にも負けやんぐらい、めっちゃ好きやったよ」
この想いは、なかなか消すの難しいけどさ。
ちゃんと笑って、友達として月島のそばにいられるように頑張るから。
せめて、ウチが心から好きだったことを、月島にも知っておいてほしい。
わがままかな?
「――ありがとう」
月島は、笑ってくれた。ウチのわがままな気持ちでもちゃんと汲み取ってくれた、その思いやりを感じさせてくれる。
……ほんまにずるいな、月島は。
このタイミングでウチが大好きな笑顔を見せるなんて。
でもそういうところ……好きやに。
好きやった。
×××
「あっ……亮子。大丈夫?」
月島と別れて更衣室に入ると、中に一人でいた留美に出迎えられた。
第一声が「大丈夫?」やなんて、留美はどれだけ心配性なんだろう。
ふっと笑みをこぼして、ロッカーの前に移動した。留美に背中を向けて言う。