ねぇ、好き?
次の日の夜――…


崇から電話が。


「昨日、ごめんな。電話に出られなくて。あの時、まだ仕事中でさ……。終わったのも遅かったから、電話出来なかったんだ」

「……へぇ、そっか……」


私はそれしか言えなかった。

だって、崇は嘘を吐いている。

本当にわかりやすい嘘……

仕事で遅くなって、電話が出来なかった時。

いつもなら、家に帰った時に“ただいま”とメールをくれる。

いくら遅い時間になったとしても、メールだけはしてくれていた。

だけど、昨日、崇からのメールは一件もなかった。


やっぱり、昨日、見たのは崇だったんだ……


信じたくなかった。

気のせいだと思いたかった。

だけど、今の崇の言葉で

“あれは、見間違いじゃない”

そう確信した。


< 11 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop