ねぇ、好き?
3年前の春――…


入社したばかりの私達は、毎日、研修の日々。

その研修の最終日。

研修を終えた私達は、新入社員全員で、親睦会も兼ねて、研修のお疲れ様会をした。

佐々木とは、それまではあいさつ程度だったけど、その飲み会で初めて会話をした。

と言っても、確かその時は、研修の話をしたくらいだったけど。


そして、その飲み会の帰り道。

帰る方向がたまたま同じだった佐々木と私は一緒に帰る事に。

駅に向かっている途中。


「ねぇ、須賀さん……」

「何?」


隣を歩く佐々木を見る。

すると、


「俺と付き合わない?」


いきなり佐々木は笑顔でそんな事を言った。


「えっ?」


突然の告白に驚いていると、


「いやー。須賀さんの事、初めて見た時から“綺麗だな”って思っていたんだ。だから、付き合いたいなって」


そんな事を言う佐々木の顔は、やっぱり笑顔。

“綺麗”だなんて、言ってもらえる事は嬉しい。


だけど、この人、結構飲んでいたよね?

酔っている状態で、そんな事を言われても、何か冗談にも聞こえるというか。


って、それ以前に……


「あの……、私、彼氏いるので……」


そう、私には付き合って2年になる彼氏がいる。


「ちぇっ。やっぱり彼氏いるのかー。残念」


佐々木は、“残念”と言うわりにはヘラヘラと笑っている。

そんな佐々木を見て、

“からかわれていたんだ!!”

この時、私はそう確信した――…


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