ねぇ、好き?
「えぇー。そんなに俺に会わせたくないのかよ。嫉妬深い男は嫌われるよー」


佐々木は笑いながら、阿部をからかう。


「うるせぇなー」


阿部は、そんな佐々木を一睨みし、テーブルの上にある伝票を手にし、


「俺、行くわ」


と、席を立つ。

阿部と佐々木、二人のやり取りと笑いながら見ていた私は慌てて席を立ち、


「あ、阿部。お金……」

「いいよ。これくらい」


阿部はにこっと笑う。

そして、


「佐々木、ここ最近、彼女いないよ」


私の耳元でそう囁いた。

私と阿部のやり取りを見ていた佐々木は、


「阿部!今、弥生に何言ったんだ?っていうか、そんなに近付く必要ねぇじゃん」


ムッとした顔で阿部を見る。


「佐々木、嫉妬深い男は嫌われるんじゃねぇーの?」


阿部は笑いながら、さっき佐々木に言われた事をそのまま返し、


「須賀、頑張れよ」


私に笑顔を向け、帰って行った。


佐々木、今、彼女いないの?


阿部の囁いた言葉が頭の中をぐるぐると回っている。

でも、佐々木の事だ。

きっと、すぐに新しい彼女が出来る。

でも……

私はそれを見ているだけでいいの?

佐々木に何も言わない、そして、あの言葉に真意を聞かないままで……


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