ねぇ、好き?
「なぁ、弥生さ……。俺の事、嫌い?」


そう言った佐々木の顔は、すごく悲しげだった。


「えっ……、な、なんで?」

「だって、いつも俺の事、適当にあしらうし……。今だって……、俺の手を払いのけたのって、俺の事が嫌いで俺に触れられたくないからかなって……」

「そ、それはっ!」


手を払いのけたのは、顔が赤くなっているのがバレたくなかっただけ。


「それは、何?」


佐々木はまっすぐ私を見つめる。

私は、佐々木を見つめ返し、


「今まで適当にあしらっていたのは、本当だけど……。でも、それは、佐々木が冗談ばかり言うからでしょ!」


最後は勢いではあるけど、今まで言えなかった事を佐々木にぶつけた。


「えっ?冗談?」


佐々木は何の事だかわからないような顔をしている。


「飲んで帰る時、いつも言うじゃん。“付き合おう”って。それって、私の事をからかっているだけなんでしょ!」


強い口調で言う私に、


「……弥生。ここ、人通りあるから、ちょっとこっち来て」


そう言って、佐々木は私を人気のない裏路地へ連れて行く。


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