ねぇ、好き?
「嘘だ……」


そう呟く。


「嘘じゃねぇーよ」


はっきりそう言ってくれるのは嬉しい。

嬉しいけど、


「佐々木に彼女がいても、言ってたじゃん」


その事が引っ掛かって仕方がない。


「それは……」


佐々木は言いにくそうに口を開く。


「それは、弥生にも彼氏がいたし、相手にして貰えなかったから……。だから、弥生の事を諦めようとして、他の子と付き合っていたんだ。でも、弥生以上好きになれないし、他の子と付き合っても弥生の事が好きだって再認識すると言うか……。諦めきれずに、ずっと弥生に“付き合おう”って言ってた」


佐々木は罰が悪そうな顔をして言う。

今、私は佐々木の事が好き。

そして、佐々木も私の事を好きだと言ってくれた。

それはすごく嬉しいのだけど……


「それって、相手の子に失礼じゃない!」

「わかってるよ。ずっとそういう付き合いばかり繰り返していたけど……。気付いてからは、そういう付き合いはしていない。それからは、ずっと彼女いないから」


そう言った佐々木は、真剣な表情で私を見つめる。


「えっ?ずっと彼女いないの?」

「弥生が彼氏と別れる前くらいかな?それくらいの時期から、俺、彼女いないよ」


今までの佐々木は、彼女がよく変わっていた。

それを知っている私は、勝手に“佐々木には彼女がいるんだ”と思い込んでいたみたいだ。


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