ねぇ、好き?
すると、


「弥生、帰るぞ」

「えっ?」


佐々木が私の腕をグイッと引っ張り歩き出す。


「ちょっ、佐々木!?」


私の問い掛けにも答えず、佐々木はまっすぐ前を見て、無言のまま歩く。


「碧、阿部。また来週ね!」


私は碧と阿部に手を振り、とりあえず前を見て佐々木の隣を歩く。


「ねぇ、佐々木。どうしたの?」


いきなり何?


なんて思いながら尋ねてみても、佐々木は答えない。

諦めた私は、黙って佐々木の隣を歩く。

佐々木に右腕を掴まれたまま……


「なぁ……。泣きたいなら、泣けよ」


ずっと黙って歩いていた佐々木が突然そんな事を言い出す。


「えっ?」

「“えっ?”って……。弥生、今にも泣きそうな顔をしてる」


佐々木は歩くスピードを緩め、私を見る。


「そんな顔してないよー。佐々木、何言ってんの?」


私は佐々木の腕を叩きながら、あはは、と笑い飛ばす。


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