カリスマ社長に求婚されました
「ああ、そうだったわね。ごめんなさい。優一ってば、そんな怖い顔をしなくてもいいじゃない」

奈子さんは、わざとらしい笑顔で私を見ると、立ち上がった。

「茉奈さん、私も一緒に行くわ。失礼を言ったお詫び」

「えっ? いえ、そんな気を遣われなくても大丈夫です……」

「気なんて遣ってないわよ。茉奈さんに当たり前に頼んだ私が、少し無神経だった」

優一さんが庇ってくれたことの嬉しさで、心が温かくなりかけていたというのに、一気に緊張感でいっぱいになる。

それに、奈子さんが本心でそう思っているとは思えず、警戒してしまった。

ニヤッと笑う彼女からは、挑発めいた雰囲気さえ感じる。

でも今は業務中で、奈子さんはあくまでも取引相手。

彼女が言っている以上、好意として受け取るしかない。

「はい。じゃあ、一緒に……」

心配そうに見ている優一さんに、『大丈夫だよ』と伝える意味で小さく笑顔を浮かべた。
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