カリスマ社長に求婚されました
そのあとのディナーが楽しめるはずもなく、気の重いまま過ごした私とは違い、奈子さんは機嫌よく優一さんやユキさんと談笑していた。
特に、優一さんとは呼び捨てにするなど距離感なく接していたせいか、ユキさんに「おふたりは、知り合いなんですか?」と聞かれる始末。
それでも、仕事上だけの関係だと誤魔化してくれればいいのに、あっさり「元カレなの」とカミングアウトするのだから最悪だ。
当然、ユキさんは驚くし、私なんて空気のような存在になってしまっていて、女としては惨めなだけだった。
そして、心から楽しめなかったディナーがようやく終わったとき、ホテルの玄関前で優一さんが奈子さんにキッパリと言ってくれた。
「じゃあ、坂下とはこれから打ち合わせがあるから、オレたちは失礼するよ。ユキさん、また発表会で」
「はい! よろしくお願いします」
ユキさんは、腰を九十度近く曲げると、優一さんに頭を下げた。
その隣で奈子さんは、面白くなさそうにふてくされた顔をしていたけど、渋々頷いている。
そして私はふたりに挨拶をすると、優一さんと並んで歩き出した。
地下駐車場に停めてある車に向かいながら、ようやくふたりきりになったところで、優一さんが手を絡めてきた。
「茉奈には、嫌な思いさせたよな。やっぱり奈子との仕事は、断るべきだったかもしれない」
特に、優一さんとは呼び捨てにするなど距離感なく接していたせいか、ユキさんに「おふたりは、知り合いなんですか?」と聞かれる始末。
それでも、仕事上だけの関係だと誤魔化してくれればいいのに、あっさり「元カレなの」とカミングアウトするのだから最悪だ。
当然、ユキさんは驚くし、私なんて空気のような存在になってしまっていて、女としては惨めなだけだった。
そして、心から楽しめなかったディナーがようやく終わったとき、ホテルの玄関前で優一さんが奈子さんにキッパリと言ってくれた。
「じゃあ、坂下とはこれから打ち合わせがあるから、オレたちは失礼するよ。ユキさん、また発表会で」
「はい! よろしくお願いします」
ユキさんは、腰を九十度近く曲げると、優一さんに頭を下げた。
その隣で奈子さんは、面白くなさそうにふてくされた顔をしていたけど、渋々頷いている。
そして私はふたりに挨拶をすると、優一さんと並んで歩き出した。
地下駐車場に停めてある車に向かいながら、ようやくふたりきりになったところで、優一さんが手を絡めてきた。
「茉奈には、嫌な思いさせたよな。やっぱり奈子との仕事は、断るべきだったかもしれない」