カリスマ社長に求婚されました
きっかけは奈子
「えっ?」

なにを言うのかと思えば、奈子さんとの仕事を後悔するような言い方に驚いてしまって、思わず優一さんを見上げた。

だけど優一さんは、真っ直ぐ前を見据えたまま、足早に歩いている。

「優一さん、なんでそんなこを言うの?」

優一さんは険しい顔のまま、車に着くとキーを開けた。

「だって、そうだろ? 茉奈との関係は、勘付いていたみたいだったし、あんなにみんなの前で堂々と過去の話をされたわけだし……」

と言いながら、優一さんは顔をしかめている。

「彼女の性格からして、きっとオレとの関係を喋ると思っていた。分かっていたことなのに」

優一さんは苦々しそうに助手席のドアを開けて、私を車内へ促した。

そういえば、奈子さんを元カノだと話してくれたのも、彼女が話しそうだからという理由だったと思い出す。

「どうして、奈子さんはあんな風に話したんだろうね……」

奈子さんから、ふたりきりのときに言われたことを話した方がいいのか、迷う気持ちも持ちながら、運転席に乗り込んだ優一さんに探りを入れるつもりで聞いてみた。
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