カリスマ社長に求婚されました
すると彼は、優しい笑みを浮かべた。
「せっかくのクリスマスイブなんだから、悲しいことより楽しい思い出を作ろう。オレは相良(さがら)っていう。きみは?」
「相良さんっていうんですね。私は、坂下茉奈です……」
おずおず答えると、相良さんは掴んでいる手を軽く引いた。
「そんなに堅苦しいパーティーじゃないんだ。どうしても雰囲気が合わなければ、途中で帰ることもできる。だから、行ってみないか? 茉奈ちゃん」
相良さんがナンパのような軽い調子で誘っているわけじゃないと思うのは、穏やかな口調のせいか、彼から漂う気品のせいか。
きっと、そのどちらもあるかもしれない。
さっきから、チラチラと膝を見ては傷の程度を心配してくれているようだったし。
そんな相良さんが、悪い人であるはずがないと感じられたからか。
「はい、ぜひお願いします……」
気がつくと、私はパーティーへ行くことを了承していた。
相良さんは嬉しそうな顔で私の背中を優しく押し、助手席のドアを開けた。
「茉奈ちゃん、乗って」
「はい……」
柑橘系の上品な香りのする車に、おそるおそる乗ってみた。
「せっかくのクリスマスイブなんだから、悲しいことより楽しい思い出を作ろう。オレは相良(さがら)っていう。きみは?」
「相良さんっていうんですね。私は、坂下茉奈です……」
おずおず答えると、相良さんは掴んでいる手を軽く引いた。
「そんなに堅苦しいパーティーじゃないんだ。どうしても雰囲気が合わなければ、途中で帰ることもできる。だから、行ってみないか? 茉奈ちゃん」
相良さんがナンパのような軽い調子で誘っているわけじゃないと思うのは、穏やかな口調のせいか、彼から漂う気品のせいか。
きっと、そのどちらもあるかもしれない。
さっきから、チラチラと膝を見ては傷の程度を心配してくれているようだったし。
そんな相良さんが、悪い人であるはずがないと感じられたからか。
「はい、ぜひお願いします……」
気がつくと、私はパーティーへ行くことを了承していた。
相良さんは嬉しそうな顔で私の背中を優しく押し、助手席のドアを開けた。
「茉奈ちゃん、乗って」
「はい……」
柑橘系の上品な香りのする車に、おそるおそる乗ってみた。