カリスマ社長に求婚されました
汗ばんでいた体もすっかり冷めた頃、ベッドから見える夜景をしばらく眺めていた。

時刻は深夜をまわっているというのに、街のネオンは明々と輝いている。

「横になったまま見られるなんて、本当に贅沢ね。それにしても、宝石みたいな景色を、優一さんって毎日こうやって見てるんだ?」

彼に背を向ける形で、ため息が出るほどの輝きに見入っていると、ギュッと抱きしめられた。

「毎日ひとりで見ていても寂しいだけだ。ジュエリーの構想を練っているときは、ポーッと見てるけど……」

と言いながら、優一さんは首筋にキスをしてくる。

くすぐったさと、冷めた体がまた火照ってくるのを感じながら、優一さんに体ごと向けた。

「ん……」

すると不意打ちのように唇を重ねられて、しばらく息をするだけで精一杯だった。

「茉奈がこうやって側にいてくれることが、こんなに安らぐことなんだな。改めて、そう感じるよ」

優一さんは唇を離すと、優しく私の髪を撫でる。

「優一さんってば……」

言葉では表現できないほどの幸せを感じながら、自然と笑みをみせる私に、彼も微笑んでくれた。

「実はさ、オレのマンションには、誰も来たことがないんだ」

「え? 誰も……?」

いきなりそんな話をするなんて、奈子さんとの間に、やましいことはないと言いたいのかな……。

夕方の打ち合わせのことを、ずっと気にかけているみたいだったし。

「そう。柊也や彩子や、それに両親でさえも」

「ご両親もなの⁉︎ どうして?」

驚く私に、優一さんは目を細めてフッと笑った。

「オレのオヤジは商社マンなんだ。外国をまわっていて、もう十年以上は日本に帰ってきていない」

「商社マン……。すごいのね」
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