カリスマ社長に求婚されました
「そうだったんですか……」

柊也さんのため息混じりの言い方で、よくない意味だということは分かる。

まさか、私のせいで優一さんの印象を悪くしているの……?

「あいつ、坂下に相当惚れ込んでいるみたいだけど、適当な距離は保った方がいいと思うぞ?」

「適当な距離……」

だけど、秘書として仕事では一番近くにいるわけだし、そこから距離を置くのはなかなか難しい気がする。

それなら、同棲という選択が間違っていたのかも……。

「オレは、どっちかって言うと、優一と坂下を応援してる側だから。それから、奈子のことは、優一から聞いたんだろ?」

「あ、はい。元カノだって……」

「優一には、奈子より坂下の方が合ってると思うよ。今でも仕事のことで、オレたち連絡取り合うことがあるけど、しみじみそう思うから」

「柊也さん、ありがとうございます……」

きっと、本当に心配してくれているんだろうと思う。

厳しいようで、言葉の端々に優しさを感じるから、柊也さんの気持ちは嬉しかった。

それに、奈子さんとの連絡のやり取りに、やましいところは無さそうなのも分かったし……。
< 121 / 287 >

この作品をシェア

pagetop