カリスマ社長に求婚されました
やっぱり、同棲の話は断った方がいいのかもしれない。

柊也さんと別れたあと仕事に戻った私は、悶々とそのことを考えていた。

そして、業務が終了したニ十一時、帰り支度を終えた優一さんが声をかけてきた。

「茉奈、帰ろうか。今日は、新作発表会の詰めもあって疲れたろ？」

「優一さん……」

相変わらず優しい笑顔を私に向けてくれるけど、気持ちは複雑だった。

「ねえ、優一さん。私たち、やっぱり生活場所は別々の方がいいんじゃないかな……」

勇気を振り絞って言ったつもりが、かなりボソッとなってしまった。

すると、優一さんの顔がみるみるこわばってきた。

「どういうことだよ。同棲がイヤだっていうことか？」

「ううん。イヤだっていうわけじゃないの。ただ、あまりにもずっと一緒にいるじゃない？ 本当にそんなのでいいのかなって……」

奈子さんに言われた公私混同という言葉や、柊也さんの適当な距離を置けというアドバイスが、頭をぐるぐる回っていた。

私がここで働くことすら、マイナスイメージにとられているのかもしれない。

そのことが、どうしても引っかかっていた。

「今朝までは、普通だったじゃないか。今日一日で、心変わりのきっかけになったものはなに？」
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