カリスマ社長に求婚されました
「なにって……」

奈子さんのことを話すとなると、彼女が優一さんに未練があることも気付かれるかもしれない。

今は、奈子さんに割り切った感情を持っている優一さんも、気持ちに変化が出るかも……という不安から、どうしても話しをすることを迷ってしまっていた。

「言えないこと? たとえば、週末オレと一緒にいて幻滅したとか?」

優一さんは眉間にシワを作って、かなり不機嫌な表情をしている。

「まさか、そんなわけないじゃない。優一さんのことを尊敬しても、幻滅するはずない……」

慌てて否定したものの、まるで納得していないようだった。

「じゃあ、なんで? オレは無理強いするつもりはないよ。だけど、理由を言ってくれないと、納得できないだろ?」

「それは……」

かといって、柊也さんの話を出すのも告げ口みたいで気がひける。

「それは?」

迫力ある優一さんを前に、誤魔化しは通じなさそうだ。

観念した私は、とっさに口にしていた。

「もっと、優一さんと距離を置きたいから」
< 123 / 287 >

この作品をシェア

pagetop