カリスマ社長に求婚されました
普段どおり、優一さんの車でマンションへと向かう。

車中はずっと無言で、私からも話しかけにくかった。

そして足早に部屋へ入ると、リビングに着いた早々、ふいに優一さんに持ち上げられた。

「優一さん⁉︎」

軽々と腰辺りに手を回して、私を少し切なそうに見上げている。

「茉奈、本当はなんなんだよ? オレと同棲したくない理由は」

「あ、あの……。それは……」

優一さんを見下ろしながら、答えに戸惑う。

やっぱり、ずっと気にかかっているみたいで、さすがに申し訳なさでいっぱいになってきた。

私が社長室で言ったことは、誤魔化しだと勘付いている……。

「言ってほしい。なにを隠してるんだ? 茉奈の本心を聞けないまま、きみを失っていかないといけないのか?」

「えっ? 失うだなんて、そんな……」

まさか、私が心変わりしているとでも思っているの?

大きな誤解を生んでいるようで、動揺していると優一さんは私を降ろして抱きしめた。

優一さんの速い鼓動が伝わってきて、彼の方がもっと戸惑っていることに気づいた。

私は今、彼をとても不安にさせている……。
< 125 / 287 >

この作品をシェア

pagetop