カリスマ社長に求婚されました
「すごい……。相良さんって、鋭いんですね。そのとおりなんです」

誰から見ても、今夜の私は惨めに映ってるんだろう。

ため息がもれたとき、相良さんがふと言った。

「グチでもなんでも聞くから、茉奈ちゃんが話したいことを喋ってみて」

ハンドルを握る相良さんは、視線こそ正面を向いているけど、心は私に向いていることが優しい口調で分かる。

「相良さんって本当に優しいです。迷惑をかけた私を、ここまで親切にしてくださって……」

車にひかれそうになったときですら、私に対して文句じゃなく体を気遣ってくれた。

膝に巻かれたハンカチだけでも、相良さんの思いやりが滲み出ているというのに……。

「そんなに言われるほどじゃないんだけど、茉奈ちゃんを放っておけなかったから」

「相良さん……」

出会ったばかりの人の優しさに、こんなに心を満たされるってことがあるのかな……。

気がつけば私は、和也にフラれた話を相良さんにしていた。
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