カリスマ社長に求婚されました
私はただ、優一さんが与えてくれたチャンスを大事にしたかっただけ。

それだけに、仕事が好評価されて少し興奮気味だった。

「優一も黙ってるなんて、人が悪いわよね。茉奈ちゃんって、ショップの店員にも向いてるって評判よ? 優一に頼んで、異動させてもらったら?」

「え……?」

彩子さんは楽しそうにクスクス笑うと、席へ向かった。

半分冗談だとは分かっていても、『異動させてもらったら?』が、頭をぐるぐる回る。

呆然としつつ社長室に入ると、しばらく考え込んでしまった。

私にも、自分の力でできる仕事があるということ……?

ellのショップ店員は倍率も高く、求められるスキルも厳しいと聞いたことがある。

だから自分には無理な職種だと思っていたけど、もしそれを目指せるのなら……。

自分の力で掴めるのなら、やってみたい気がする。

奈子さんには足元にも及ばないかもしれないけど、頑張ってみたい、じわじわその気持ちがわいてきた。
< 130 / 287 >

この作品をシェア

pagetop