カリスマ社長に求婚されました
すると、蓮士さんという人は、一瞬目を見開いたかと思うと、すぐに穏やかな笑みをみせた。

「そうでしたか。実は、あなたのお噂はかねがね聞いていたもので……。一度お会いしたいと思っていました」

「えっ?」

噂って、いったいどんな内容なのだろう……。

まさか、奈子さんが言っていたような、マイナスイメージに繋がりそうなものだと嫌だ。

と考え込んでしまっていると、蓮士さんのクスクス笑う声が聞こえた。

「そんなに考え込まないで。突然声をかけて、ごめん。実は、オレは優一の知り合いで、こういうことをやっているんだ」

蓮士さんは、それまでのかしこまった雰囲気から一気にくだけた感じに変わり、名刺を差し出した。

受け取って見てみると、そこには某一流外資系銀行の名前が書いてある。

どうやら、投資部門の課長をしているらしい。

そのステータスにすっかり引いてしまった私は、笑顔を引きつらせながら蓮士さんを見た。

「あの……。蓮士さんのような方が、私にどんなご用件でしょうか?」
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