カリスマ社長に求婚されました
「そうだったのか……。それは辛かったな」

車を走らせる相良さんは、私の話をひと通り聞き終えると、神妙な面持ちで応えてくれた。

「はい。それに、ellの指輪って、本当に憧れだったんです。その夢も、彼にとってはウザかったんでしょうね」

和也の『重かった』という言葉が頭の中をリフレインしてきて、泣きそうになる気持ちを抑えた。

「茉奈ちゃんは、ellがそんなに好きなのか?」

「もちろんです。シンプルだけど品があって、女性の心を掴んでるブランドだから大好きなんです。だから、ellの指輪が欲しかったんですけど……」

それなのに、今夜でellは切ない思い出に変わってしまったことが、本当に悲しい。

「なるほどな。そんな男は、早く忘れた方がいい。夢を否定するなんて、オレには考えられなないな」

「ありがとうございます……。和也の気持ちを、見抜けなかった自分も情けないんですけどね」

いつかは、私の願いも叶うだろうか。

愛する人から、愛の証である指輪を貰いたいという願いが……。
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