カリスマ社長に求婚されました

「頼まれた？ それって、誰かが蓮士さんに、私を挑発するように頼んだってことですか？」

さらに顔を険しくすると、蓮士さんは気まずそうに肩をすくめ小さく頷いた。

「挑発というか、茉奈ちゃんに優一を諦めさせるように仕向けてほしいって感じだ」

と言われ、そんなことを頼む人は、奈子さんしか思いつかない。

ふたりは学生時代からの知り合いみたいだし、連絡を取り合っていても納得できる。

「奈子さんですよね……？」

尋ねてみたけれど、蓮士さんは返事を濁している。

どうして彼女を庇うのかが分からず、ますます心のなかではムッとした。

「茉奈ちゃんが、優一の肩書き目当てで近づいてるって、そう聞いてたんだ」

「そんな……！ 全然違います。優一さんの肩書きは、私の想いには関係ありません」

思わず反論すると、蓮士さんはゆっくり頷いた。

「それは、すぐに分かったよ。オレの経験上、肩書きが大事な子は、誰の肩書きも好きなんだ。茉奈ちゃんは、まるでオレには目もくれなかったし……」