カリスマ社長に求婚されました
「お待たせ茉奈ちゃん。行こうか」

十五分ほど経って相良さんは帰ってくると、助手席のドアを開けてくれた。

「はい……。でも、私なんかが行って大丈夫でしょうか? いくらなんでも、カジュアル過ぎる格好に思えて」

「大丈夫だよ。ちゃんと、ドレスがあるから」

「え? どういうことですか?」

私の質問に相良さんは答えず、ただニコリとして手を握ると、歩き始めた。

そんな彼につられるまま、入口で警備員らしき人のチェックを受ける。

まるで愛想もなく、むしろ威圧感のある警備員がふたりで、招待状の確認をしていた。

雰囲気が物々しく、怖じ気づいてしまった私に
気づいた相良さんが、そっと肩を抱いて耳元で囁いてくれた。

「大丈夫だよ、茉奈ちゃん。オレが絶対に側にいるから」

「はい……」

まるでその言葉が魔法みたいに、私から緊張をスッと取り除いてくれる。

そして肩から感じる彼の温もりが、いっそう私に安心感を与えてくれていた……。
< 17 / 287 >

この作品をシェア

pagetop