カリスマ社長に求婚されました
蓮士さんはその後、めぼしいジュエリーを見つけることができ、商談は無事に終わった。

優一さんは、またもや急な電話で蓮士さんを見送れず、代わりにエレベーターまで一緒した私に、蓮士さんは名刺を一枚差し出した。

「蓮士さん、もう名刺ならいただいてますよ?」

パーティーの夜にもらったはずなのにと、怪訝な顔を向けると、蓮士さんは私が持っている名刺をゆっくり裏返した。

そこには、携帯番号が書かれている。

「まさか、蓮士さんの番号ですか?」

驚いて聞くと、蓮士さんはニヤッと笑った。

「当たり前だろ? 誰の番号だっていうんだよ」

「必要ないですよ。お返しします!」

慌てて突き返そうとすると、蓮士さんは少しムッとした。

「そんなのは分からないだろ? 茉奈ちゃんの役に立つこともあるかもしれないし。出会いは大切にした方がいい」

「出会いを大切にって、蓮士さんに言われたくないですけど……」

と言った私に、蓮士さんは小さく笑う。

そして名刺を持っている私の手を、自分の手で包み込んだ。

「とにかく、優一といる限り悩みもつきないだろうから、たまには相談にのるよ」

「ちょっと、蓮士さん⁉︎」

相談に乗ってもらうことなんてないと言いたかったのに、エレベーターが開いたと同時に、蓮士さんは軽やかに乗り込んで帰っていった。
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