カリスマ社長に求婚されました
「茉奈には、茉奈のよさがある。今のままでいいじゃないか」

「……じゃあ、優一さんは奈子さんのどこを好きだったの?」

「えっ?」

どうして、ここまで反対されるのかが分からない。

ショップの店員にしてくれと頼んでいるのではなく、目指したいと言っているだけなのに。

だんだんと、フラストレーションが溜まってきた私は、優一さんを困らせる質問をしてしまった。

それは自覚しているけど、感情が止められない。

「どこって……」

言いづらそうにする優一さんに、ますます苛立つ気持ちが増してくる。

「答えてよ」

いつになく突っかかる私に戸惑いを見せながらも、ゆっくりと答えてくれた。

「頭の良さ、可愛さ……、それから才能」

「ほら、やっぱり私には全然ないものばかり」

最後の『才能』には、落ち込まざる得ない。

すると、優一さんはムッとして言った。

「茉奈のその卑屈な考え方は、たしかに嫌いだな。オレの言葉は、まるで心に届かないみたいだ」
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