カリスマ社長に求婚されました
業務終了後、急いでビルを出ると、裏門を出たところでセミナーの予約の電話をした。

すると、最後のひとりだったと聞かされて、早く問い合わせてよかったとホッとする。

「来週の土曜日と日曜日か……」

優一さんには相談できないまま決めてしまったけど、どうやって切り出そうか。

二日間のセミナーは、一日通して行われるから、きちんと話さないといけないし……。

とはいえ、勢いで決めてしまった私を、優一さんがまた不快に思うかもしれない。

それを考えると、尻込みをする自分がいた。

「いた! 黙って帰るなんて、どういうことだ?」

考えごとに集中していると、背後から優一さんの声が聞こえてきて、一瞬にして青ざめる。

ゆっくり振り向くと、私を睨みつけ、腕組みをして仁王立ちしている姿があった。

「優一さん……」

かなり怒っているらしい優一さんは、数秒黙ったあと口を開いた。

「いくらケンカしてるからって、逃げるように帰ることはないだろう? それに、電話も出ないし……。誰かと話してたのか?」
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