カリスマ社長に求婚されました
優一さんの言うことはもっともで、ぎこちないままの状態で、私も軽々しい行動をしてしまった。

そもそも、優一さんを怒らせた原因は私なのだし……。

「蓮士さんに、電話はしてないわ。ただ、セミナーの予約をしただけ……」

「セミナー？」

これを話したら、ますます怒らせてしまうかもしれないけど、誤魔化しきれることでもなく正直に説明をした。

すると、優一さんの顔は、さらに険しくなり口調もより低くなった。

「なんで、勝手なことをするんだ？ オレは、ellのショップの店員を許したわけじゃない。だいたい、茉奈にはここでの仕事の経験が浅すぎる。簡単になれるなんて、考えないでほしい」

キッパリと言われて返す言葉もないし、傷つく自分がいて、ただ俯くだけ。

やっぱり優一さんは、私にショップ店員の素質がないと言いたいんだ……。

少し褒められたからって、思い上がりもいいところだったんだわ。

ひとりで奈子さんと張り合って、自分にも才能があるかもしれないなんて……。

「茉奈……？」

今度は、心配そうな優一さんの声が聞こえる。

気がつくと私は、涙をひとつぶ、ふたつぶと落としていた。
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