カリスマ社長に求婚されました
それは、胸元に同系色のファーがついているサテン生地のもので、七分丈の袖口が絞られていて甘めの印象になっている。

「茉奈ちゃん、可愛いじゃないか。着てみたらどうだ?」

相良さんに言われ、私はコクリと頷く。

ひとりではとても決められそうにないから、とりあえず着てみようと思い、向井さんに案内されるまま、奥の小部屋に入る。

「部屋の中に、また部屋があるのね」

慣れないドレスを身につけて、姿見に映る自分が照れくさい。

なにせ、こんなドレスを着たのは初めてだから……。

膝丈とAラインシルエットで、なんとか見れるだけに着こなせたけど、相良さんはどう思うだろう。

緊張しながら部屋を出ると、相良さんはハッとした顔で立ち上がった。

「似合うじゃないか茉奈ちゃん。膝の傷も隠れているし」

「本当ですか……? ありがとうございます」

相良さんに似合うと言ってもらえてホッとする。

「本当に可愛いよ。アクセサリーはこれだな。茉奈ちゃんは小柄だから、ポイントは上に持っていこう」

そう言って相良さんは、手に持っているネックレスとイヤリングをみせてくれた。

「これって、ellのこの冬の新作ですよね⁉︎」

絶対にそうた。星のモチーフになっているもので、話題になっている。

ネックレスは二連で、星が流れているのをイメージしているらしく、十個のルビーが使われていた。

イヤリングは、ルビーが垂れさがっているものだ。

「どうしてこれがここに?」

思わぬellの登場に、私は戸惑いを隠しきれなかった。
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