カリスマ社長に求婚されました
「茉奈……」

優一さんが優しく私の肩を掴み、顔を覗き込もうとする。

だけど泣き顔を見られたくなくて、横へそらした。

「よくよく思い返せば、優一さんに拾われたようなものだったのよね。あの日、失恋した私に出会わなければ、きっと優一さんは私を気にも留めなかったはず……」

「違う、茉奈。拾っただなんて、そんな言い方をするなよ。オレは、茉奈と同情で一緒にいたわけじゃないんだ」

少し焦る姿をみせた優一さんは、私の手を取り抱きよせようとする。

だけど私は、とっさに体を押し返し抵抗していた。

「優一さんの言葉は、いつだって愛情で満ち溢れてる。それは伝わってるの。前向きに考えようと思ったこともあった……」

涙を抑えて、優一さんを見つめて続ける。

「だけど、どうしても不安になるの。優一さんの恋人でいる自分が、どうしてもリアルに見られなくて……」

優一さんの名前は、日本だけでなく海外でもカリスマ社長として有名だ。

そんな人の隣にいるのが、なんの取り柄もないいち女子なのだから、本当に優一さんの彼女でいいのか、疑問に感じてしまう。
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