カリスマ社長に求婚されました
「ケンカ……じゃないです。私が悪いので……」

落ち込んでる原因が優一さんだと、疑われもせず思われるのもどうなんだろ……。

「へぇ。なにやっちゃったの?」

人が深刻なときに、軽く聞かれると腹がたつ。

そもそも蓮士さんに相談するつもりもないから、その質問には答えず再び歩き出した。

すると蓮士さんも、歩調を私に合わせてくる。

「ついてこないでください」

「オレも方向が同じだから」

まったく、ひとりになりたいのに、蓮士さんに絡まれると落ち着かない。

歩きながら、一番近い路地を曲がる。

これなら、蓮士さんはついてこないだろうと思ったのに、彼も方向を変えてついてきた。

「ちょっと、蓮士さん。職場はこちらじゃないですよね?」

睨みつけると、蓮士さんは顔色ひとつ変えずしれっと言った。

「本気で受け取ってた? 茉奈ちゃんに合わせて、歩いてたに決まってるだろ?」
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